症例紹介

  • 口が臭い

①歯周病とは

《歯周病とは》
多くの飼い主様が誤解されていることですが、歯周病とは「歯の汚れ」ではありません。
字のごとく「歯の周りの病気」であり、「顎の骨が腐る」感染症です。
X線写真を見てみると、歯はそのまま残っていますが、歯の周りの顎の骨が無くなってきていることがわかります。
さらに歯周病が悪化すると顎の骨が折れてしまいます。
恐ろしいことに、このようなことは珍しいことではなく、多くの小型犬で見られます。

歯周病の発生率は他の病気に比べて非常に高く、年齢とともに増加してきます。
3歳以上で85%、7歳以上でほぼ100%の
犬猫たちに歯周病が見られます。

歯周病が悪化すると歯の周囲の顎の骨が腐り、周囲に化膿が及び、
眼の下あたりの腫れ、顎の骨髄炎、病的な顎の骨折を引き起こすことがあります。
人と犬では歯垢の内で増殖している歯周病菌は血流にのって全身に回り、心臓や腎臓など全身へ悪影響をもたらします。

《歯周病の予防と治療の基本とは?》
 まず第一に、間違った自己流のケアを行わず、歯周病を正しく理解していただくことが重要です。
そして、正しい診断と治療の行えるプロフェッショナルな歯科専門病院で予防と治療を受けることも重要です。
ひどい歯周病になってからでは、多くの歯を抜くことになり、体にも悪い影響が残ります。
出来るだけ症状が軽いうちから適切な予防と処置を犬猫に行い、キレイな歯と口を維持することが体の健康のためにも重要です。
《なぜ歯周病になるのか》
もともと、人同様に犬猫の口腔内にも様々な細菌がいます。

歯垢を「食べカス」と思っている人が多いようですが、実は、歯垢はバイ菌の塊なのです。
歯石が歯周病をもたらすのではなく、歯垢の中のバイ菌(歯周病菌)が歯周病をもたらすのです。
デンタルケアが適切に行われないと、歯周ポケット内で歯周病菌が増えてきます。
そして歯周病菌が歯周組織(歯肉や顎の骨)を破壊するようになります。
同時に歯周病菌は硫化水素やメチルカプタンなどの毒素を出します。これらの物質は口臭の原因でもあります。
これらの口臭物質によっても歯周組織に炎症が起き、さらには歯周組織が破壊されていきます。
つまり、口臭は歯周病の程度を表しているのです。
適切な処置をしなければ、肉眼では見えない顎の中で徐々に歯周病が悪化していきます。自然に治ることはありません。