どうぶつの歯医者さん

高齢の犬や猫は麻酔をかけて歯の処置をすると弱る?

  • どうぶつの歯医者さん
  • 2012.01.23

麻酔や手術をしたからといって、体が弱ることはありません。それは迷信です。
しかし、弱った体に麻酔や手術をおこなうことは、犬猫にとって負担になり得ます。
弱った動物には、麻酔や手術をすることは難しいです。
高齢の動物に麻酔をかけることは私どもにも不安はあります。そのため処置には慎重をきす必要があり、麻酔のための事前の検査が重要です。
臨床現場では、以前より歯石がたくさんついていても、麻酔が怖いという理由などにより、さらにひどくなるまで放置してしまう結果になっているケースが後を絶ちません。
高齢により免疫力が低下している状態になると、さらに歯周病が急速に進み、病院に連れて行く時には、歯周病はさらに重度になり、体は麻酔をかけられない状態まで悪化しているケースがよく見られます。
つまり、体が弱ってきているからこそ、歯周病菌にも負け易くなり、歯周病はさらに進行していくという悪循環になっていることが多いようです。
そうなってからリスクの高い麻酔をかけて、ひどい歯周病になった歯を抜くのではなく、若いうちから、歯を抜かなくて済む様な簡単な予防歯科処置を行えばよいのです。
元気なうちに、軽い症状の時に処置をするべきです。

処置前には、麻酔をかけることを前提に、全身の評価がかかせません。当院では、事前に全身を検査し、その子にあった麻酔方法を選択し、できるだけ負担の少ない麻酔で、短時間に処置を行えるシステムにしています。

事前に飼い主様とご相談させていただき、動物の十分な検査を行ってから、できるだけ悪くなる前の早期に処置をすることが重要なポイントです。

ただ、「麻酔をしない歯石除去の治療の方が良い」と安易に選択するのは危険です。
麻酔をしない治療は痛みをともないます。また、肝心の歯周ポケットの治療ができません。
見た目の麻酔を怖がらずに、きちんとした必要な処置をしてあげることが、本当にその犬猫の事を一番に考えた治療だと思います。

専門的に歯科治療を行っている動物病院でないと、正しい判断はできない可能性はあります。見た目だけで判断しないでください。