症例紹介

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埋伏歯

歯が足りないときにはX線検査で確認する必要があります。歯が見られない場合(歯の数が足りないとき)には次の2通りが考えられます。ひとつは歯がもともとない場合でこれを欠歯と言いますが、欠歯である場合は治療は必要ありません。もうひとつは歯が顎の中に埋もれている場合でこれを埋伏歯といいます。
上の写真の犬は下顎の犬歯の後ろの歯が見えません。代わりに少し盛り上がって見えます。

X線写真を見てみるとそこに出ていなければいけない歯が、出られずに顎の骨の中で埋もれていて(埋伏歯)、さらに嚢胞を形成している症例です(含歯性嚢胞)。周りの顎の骨が溶け、顎の骨が薄くなっている為に顎が病的に折れそうになっています。直ちに治療が必要です。症状がないため発見することが難しい症例で、動物病院でも見逃されやすいです。その部分のX線を撮らないと分かりません。処置は難しいため、歯科専門医での治療が必要です。

処置は以下の通りです。まず埋もれていた歯と嚢胞を除去します。

上は犬歯の後ろの3本(
右下顎第1.2.3前臼歯)を抜去し、嚢胞の壁を除去したところの写真及びX線画像です。
埋伏歯があったところの周囲には骨がないことが分かります。”嚢胞”には水の様なものが溜まっており、大きな穴になっています。このままではすぐに下顎が折れてしまう危険がある為、骨補填剤(骨に置き換わるもの)を詰めてから縫合します。

上のX線画像は空洞に骨補填剤を詰めて縫合した後の写真及びX線画像です。
術後1ヶ月でフードやエリザエスカラー・運動の制限などがなくなり、普通に使えるようになります。
ただし、再発が多いので、術後も再チェックが必要です。このような病気の診断・治療は歯科専門病院でしか行えません。早めの受診をお勧めします。